古書店というと、整然と並べられた街の書店や、いとも簡単に在庫や価格、手元に到着する日が検索できるインターネットのショップと異なり、どこになにがあるか、まったくわかりません。さらに、◯◯がほしい、と明確に決めないで行くので、目に入った本になにか意味があると信じて、入手するようにしています。本も人と同じ、「出会い」が大きなポイントだからです。

 出会った際はなるべく、無理のない程度に購入するようにしているのですが、そのきっかけとなったかもしれない本があります。今だに、「買っておけばよかった」と後悔している本です。

 それは、日本の昔話の「絵姿女房」です。内容はネットで検索すればすぐに出てきます。おそらく自分も含め、多くの方々が結末まで知っている内容です。それでもどうしても「買えばよかった」と後悔してしまうのは、絵姿女房だけに絵が楽しく、ついつい物語に引き込まれてしまったからです。それぞれの場面が思い浮かぶので、改めてすぐれた絵本だったと思い知らされます。

 古書店に限らず、書店に入ったら、まず「立ち読み」をする方々も多いでしょう。ただし、その姿勢で大笑いしたくなるのを必死でこらえる姿というのはあまり見かけませんが、絵姿女房を読み始めた自分が、そんな状態になってしまいました。

 とくに印象に残っていて、今も思い出すと吹き出したくなるのが、主人公の男性が奥さまを好きすぎて見とれているうちに、編んでいるわらじが足のサイズをはるかに越えて長ーくなってしまった場面です。男性はさらに奥さまのことを考えすぎて、畑仕事が身につきません。それではさすがに生活のために困るので、奥さまがご自分の似顔絵を描いてそれを貼って眺めながら仕事をしなさいと諭します。素直な夫はそれに従います。なんともうらやましい、楽しいご夫婦でしょう。そして夫は特にイケメンでもなく、どちらかというとサエない男性ですが、奥さまが感じた大きな魅力があるのでしょう。

 ただ、そのふたりの生活も意地の悪い身勝手なお殿様?が現れて、奥様を奪っていってしまうのですが、思い出す限りでは夫はなんとかして奥さまを連れて帰ります。

 できればこどもからお年寄りまで、一度は読んでいただきたい絵本です。